返礼品について
喫茶店に残された家族の記憶を描く物語。
人が残した声や言葉が、時間を越えて受け継がれていく意味を描く物語。
題材や登場人物は異なりますが、二作品には、大切な人との記憶、失われた時間、残された言葉、そして誰かの思いを次の時間へ受け渡すことへの願いが共通して流れています。
【日溜まりの旋律 ― 愛とハミングの記憶 ―】
大阪府茨木市の路地裏に、静かに佇む小さな喫茶店『栞(しおり)』。
マスターの和也は、完璧に整えられた店内で、最愛の妻・栞と娘の陽葵の気配を感じながら、日々変わらない規律の中で珈琲を淹れ続けていた。
二人の歩みは、十七歳の秋、あの放課後の図書室から始まった。
互いの不器用な孤独をハミングで埋め合うように寄り添い、大学生の苦い修行時代を経て、やがて二人で金物屋の倉庫から見つけてきた古い真鍮のレジスターと共に、念願の小さな店をオープンさせる。
それは、泥臭い努力の末に掴み取った、光に満ちた幸せな日々の始まりのはずだった――。
しかし、今、和也が営むその平穏な日常はどこか無機質で、冷たい「空白」を孕んでいる。
ある日の閉店間際、あの思い出の真鍮のレジスターが突如としてエメラルドグリーンの光を放ち、狂ったようにロール紙を吐き出し始めた。
そこに刻まれていたのは、和也の知らない「三年間分の、家族の現実の記録」だった。
――あの日、叩きつける雨の夜。俺が家族を守るために下した選択の結末は、どこにある?
完璧で孤独な「夢の世界」から、不完全で、痛みに満ちた、けれど愛おしい「現実」へ。
青春の葛藤から、失って初めて知る日常の輪郭までを圧倒的な筆致で描いた、心震える家族の再生の物語。
「当たり前の毎日が、実は一番脆くて、一番特別なんだ」
完璧な規律に隠された、あまりにも切ない「地獄の夢」の正体とは――。
青春の煌めきから、命懸けの選択のその先へ。
「今」という奇跡を生きるすべての人に捧げる、著者・武岡隆の渾身の感動作。
【風に触れたい ― 茨木の記憶に溶けゆく声 ―】
大阪府茨木市、片桐町の古い住宅街。
安田優子は、阪急本通り商店街のコロッケの匂いや、安威川から吹く風、夕暮れに染まる街並みの中で育った、ごく普通の女の子だった。
幼い頃は、商店街の温かな声や家族の穏やかな食卓に包まれ、何気ない日常を当たり前のものとして受け止めていた。しかし中学時代、吹奏楽部で自分の音が周囲から浮いているように感じたことをきっかけに、優子は自分の声と心にそっと鍵をかけてしまう。
そんな優子の人生を変えたのは、高校で出会った放送部だった。
大勢へ向けて声を張り上げるのではなく、たった一人の誰かの耳元へ、温かいお茶を淹れるように言葉を置くこと。木下先輩から教わったその考え方は、優子の中に消えない小さな灯火をともす。
放送室のマイク、昼休みの校内放送、体育祭での一言、そして朗読の舞台。自分の声を恐れていた少女は、少しずつ「言葉には誰かを救う力がある」と信じられるようになっていく。
やがて短大でコミュニケーションを学んだ優子は、通販会社ソラシエの出品者対応部門へ進む。そこは、画面の向こう側にいる見えない誰かの不安や怒り、孤独と向き合う場所だった。
規約だけでは救えない心。正しい言葉だけでは届かない痛み。優子は、茨木で育まれた記憶と、自分自身が積み重ねてきた声の力で、一人ひとりの人生の一ページに触れていく。
そして、その声と言葉の記憶は、やがて人間だけのものではなくなる。
人の心に寄り添うAIとは何か。記憶はどこへ残るのか。伝えられなかった言葉は、時を超えて誰かに届くのか。
阪急本通り商店街、元茨木川緑地、安威川、彩都――茨木の風景と人々の記憶を背景に、誰かを想う気持ちと、受け継がれていく声の行方を描いた、静かで深い長編小説。
【書籍+特典付き!】
本書には、紙の本を受け取られた方のための限定閲覧ページ「静かな書庫」の案内資料を同梱しています。
静かな書庫では、対象作品をスマートフォンやパソコンから再閲覧できるほか、作品が生まれるまでの制作秘話や、物語に登場する言葉・表現をまとめた小辞典など、紙の本とあわせて楽しめる限定コンテンツをご覧いただけます。
利用を希望される方は、同梱資料に掲載されたQRコードから任意登録フォームへお進みください。
登録時には、本特典の対象となるお申込みであることを確認するため、寄附受付番号19桁をご入力いただきます。
氏名とメールアドレスは、静かな書庫の登録およびご案内のためにご入力いただきます。
住所や電話番号は取得しません。
登録は任意であり、紙の本のお届けや受け取りには影響しません。
静かな書庫は電子書籍単体の返礼品ではなく、紙の本を受け取られた方のための限定閲覧特典です。
詳しくは、書籍に同梱する案内資料をご確認ください。
【セット内容】
・日溜まりの旋律 ― 愛とハミングの記憶 ― 1冊
・風に触れたい ― 茨木の記憶に溶けゆく声 ― 1冊
合計2冊
【書籍情報】
■日溜まりの旋律 ― 愛とハミングの記憶 ―
著者:武岡 隆
発行:武岡出版
判型:文庫判(A6)
ページ数:252ページ
ISBN:978-4-9914760-1-3
発行日:2026年7月11日
■風に触れたい ― 茨木の記憶に溶けゆく声 ―
著者:武岡 隆
発行:武岡出版
判型:文庫判(A6)
ページ数:254ページ
ISBN:978-4-9914760-2-0
発行日:2026年9月13日
大阪府茨木市から生まれた二つの物語を、紙の本と静かな書庫の両方で、ゆっくりとお楽しみください。
- 返礼品レビュー
- 自治体への応援メッセージ