滋賀県 高島市 Takashima, Shiga  ANA FURUSATO  Payment of taxes

高島市の山と水、そして“こだわる文化”が繋いだ、昔ながらの米作り

雄大な山々を望み、冬には雪が降り積もる。雪解け水が川に流れ、琵琶湖に注ぐ。滋賀県高島市。古くからの交通の要所であり、日本海から京都へと海産物を運ぶ“鯖街道”と呼ばれる通りには、鯖寿司の名店が今も軒を連ねる。そこには昔からの食文化がある。そしてこだわりがつまった米の農法も、現代に蘇った。
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高島市役所政策部 加藤 智彦さん

琵琶湖の水が作り上げた、美しい景色と食文化

滋賀県高島市には、景勝地と呼ばれる場所が数多く存在する。蛇谷ヶ峰、箱館山などの山々を望み、日本最大面積の琵琶湖を有する。畑の棚田や八ツ淵の滝、萩の浜など、水にちなんだいわゆる“100選”に選ばれている場所が多い。

「日本さくら名所100選に選ばれた海津大崎の桜や、日本街路樹百景のひとつになったメタセコイア並木などもありますが、やはり“水”が高島市を語る上での一番大きなキーワードです。水の文化が色濃く残っていて、発酵食品などの食文化にもつながっています」

高島市政策部の加藤智彦さんの談。古代より伝わる鮒寿司や、酒や味噌、醤油に酢など、発酵食品は様々ある。それらはふるさと納税の返礼品でもあり、高島市が大切にしてきた文化だ。

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「実は高島市は、百貨店の髙島屋ゆかりの土地です。創業家である飯田家はこの土地の出身で、京都に出て米穀商を営んだとき、髙島屋という屋号を用いたんですね。ANAのふるさと納税に出している返礼品は、すべて髙島屋のバイヤーさんの目利きで選んでいるものです」

その最たるもののひとつが、「たかしま生きもの田んぼ米」。淀川水系の豊かな水を利用し、無農薬で生物の多様性を維持しながら作ることにこだわった。加えて、山を有することで寒暖の差もあり、寒い地域の品種であるササニシキとミルキークイーン、平地での栽培が主なコシヒカリの同時期栽培もできる。恵まれた里ならではの米栽培だ。

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農業生産法人グリーン藤栄 代表取締役 梅村 光さん うねの農園 代表 釆野 哲さん

有機農法で発見。 農家も知らなかった驚きの生態系

案内してもらったのは、市内にある農業生産法人グリーン藤栄。倉庫には出荷を待つ米袋がいくつも詰まれている。

「若手を中心とした10農家が作っています。この低温貯蔵庫で新米の味わいを保ったまま、年間で1800袋生産しています。それぞれに生産者さんの名前を書いているんですよ」

教えてくれたのは、代表の梅村 光さん。昔ながらの有機農法にこだわっているそう。

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「もともと何件か有機栽培の米農家さんはあったのですが、それぞれで個別に出荷していては訴える力が弱いし、高島市ならではの米作りをしたいという思いがあったんです。自分たちの目指す農業を模索するなかで、有機栽培について学びたいという思いがあり、先輩方と立ち上がったグループです」

こう語るのが、うねの農園の釆野 哲さんだ。一般的な米栽培と比べて、雑草除去など手作業の多い有機農法は手が掛かるほか、栽培のための技術も多岐にわたる。しかしいくつもの米農家が集まったことでノウハウの共有ができ、安定した生産に繋がったそう。

「このあたりだけに住むナゴヤダルマガエルがいたり、チュウサギという珍しいサギが飛来したり。そういうことを、農業をしていたのに全然知らなかったんです」(釆野さん)

「珍しい生態系も見つかりましたね。日本海側の一部にしかいないといわれていた巨大なハッタミミズがいたり。夏には、髙島屋さん主催で琵琶湖博物館の館長を招いて、子供たちやお客さんとふれあう生態調査イベントも行いました」(梅村さん)

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髙島屋京都店 食品バイヤー 赤松 健次さん

髙島屋と高島市。10年に渡る取り組みの成果を、ふるさと納税で

「髙島屋と高島市さんのこういった取り組みは、今年でちょうど10年目になります。もともと米農家さんからご提案をいただいたんです。ただ、その時点ですでに食品や工芸品など、高島市さんには数多くの取引がありました。コラボレーションを行うずっと以前から、この土地の食べ物や生産物が優れていたということです」

こう教えてくれたのが、髙島屋京都店で食品バイヤーを務める赤松健次さん。

「この自然があるからこその食文化だと思います。でも環境だけではなく、このあたりの方々はすごく物作りに対して積極的なんです。わからなくても、『できません』ではなく、『やってみましょう』なんです。私たちのような立場としても、そういう情熱はすごく刺激になりますね」

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10年にわたる取り組みを経て、ふるさと納税の返礼品としても好調だという。

「お客様からの電話やメール、手紙で、おいしかったという反応をいただきます。炊き込みご飯の写真とかをいただいたこともありました。注文はひっきりなしですよ。リピーターの方も本当に多いです。作りがいがありますね」(梅村さん)

安全で食味に優れた米作りは、生産者のモチベーションにも繋がっているようだ。

「たとえば製品にならない大豆を混ぜて土に撒く、ボカシ発酵肥料を使っています。そういったこだわりのひとつひとつが、ほかのお米とはちょっと違う高島市の有機栽培のお米の味わいになっていると思いますよ」(釆野さん)