大分県 佐伯市 Saiki, Oita  ANA FURUSATO  Payment of taxes

色鮮やかな緋扇貝は、秋に美味しく色づく。大分県佐伯市の豊かな恵み

緋扇貝と書いて、ヒオウギガイと読む。美しい色の貝で、朱色や黄色、紫もある。ホタテの仲間だが、それに勝るほどの美味しさ。なかなか出回らない極上の珍味だ。太陽が降り注ぐ大分県佐伯市のリアス式海岸でうまみをたっぷり蓄え、実りの秋、色づいた貝がふるさと納税の返礼品として、全国の食卓に上る。
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後藤緋扇貝 後藤 猛さん

島民19人の小さな島。家族4人総出で取り組む、緋扇貝の養殖業

大分県佐伯市にある蒲江港から、船で沖に向かうことおよそ10分。一周3kmほどの屋形島は、人口19人が暮らす小さな島だ。入江にはイカダが浮かび、コバルトブルーの透き通った海を覗けば、多くの網が吊されている。そこには、目にも鮮やかな色とりどりの貝がある。

これらは緋扇貝(ヒオウギガイ)という佐伯の名物だ。イカダの上の小屋では、19人の島民のうち4人、後藤緋扇貝の後藤さん一家が作業にあたっている

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「今は貝の掃除をしているんですよ。稚貝から育てて、1年くらいで出荷できます。成長の早いものは9カ月くらいで出せますよ。最初、網の中には100個ほど入れて、大きくなったら50個、20個と分け、最終的には10個くらいにします」

後藤 猛さんの談だ。お母さんと奥さん、そして父親の文明さんの4人で養殖業を営んでいる。

「沖の方にブイとロープだけのイカダもあって、そっちでも養殖しています」と、ちょうど文明さんが、沖から緋扇貝の入った網を引き揚げて船で帰ってきた。

「色が違うのは生まれつき。掛け合わせで決まるんだよね。紫はブドウの味で、朱色はオレンジ味」(文明さん)というのは、もちろん冗談。どれも変わらぬ美味しさだ。緋扇貝の旬は秋から冬にかけて。紅葉が色づくように貝も色づくのだ。

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後藤緋扇貝 後藤 文明さん

ホタテに近いが、濃厚な味わい。豊後水道とリアス式海岸が育んだ恵み

「天然モノが一番うまいよ。大きくなるのも早いしね。ホタテは食べたことあっても、緋扇貝はないだろ? 食べてみるか?」(文明さん)

小屋の奥にあるコンロで、おもむろにフライパンに殻ごと放り込み、日本酒を一回し。火に掛けて蓋をする。沸騰させて、しばらく吹きこぼしたらできあがり。蒸すとうまみが凝縮し、貝からの身離れもいい。湯気を立てるプリプリの貝柱は、実に噛み応えがある。濃密なコクは、まさに海のスープと呼ぶべき香り高いものだ。あっさりとしたホタテに比べて、うまみが濃密な印象だ。

もちろん焼いても美味しいというが、新鮮ならば刺身もうまい。歯応えの良さと、身の甘みがたまらない。コリコリとした貝ヒモもまた絶品だ。

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「このあたりはリアス式海岸で、潮の流れが穏やかで水が入れ替わらないんです。山から川に流れる養分が豊富なので、緋扇貝が食べるプランクトンが発生しやすいんですよ」(猛さん)

そんな理由から、佐伯の海域は貝の養殖に適しているという。緋扇貝はふるさと納税の返礼品としても人気だ。

「日本全国の寄附してくれた人たちから直接電話がかかってくることもあるよ。おかげで緋扇貝の知名度も広がっているよ。実際、うまいやろ?」(文明さん)

「ふるさと納税に出してもらってから県外の方の注文も多いですよ。もっとたくさんの人に食べていただきたいですね。佐伯にはいろんな美味しい食べ物がありますので、注目してもらって、機会があれば遊びに来てもらえたらうれしいですね」(猛さん)

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大分県佐伯市長 田中 利明さん

豊かな地域資源と、深い歴史。この魅力を全国へ

好漁場として知られる豊後水道では、伊勢エビやカキが獲れ、フグの出荷も間近に控える。また日本有数のブリの養殖地という側面も持つ。さらに数年後には1000トンもの養殖クロマグロの水揚げが期待される。獲れたての魚を使った寿司は“佐伯寿司”と呼ばれ人気だ。山の恵みもあり、野菜もうまい。

「豊かな地域資源があって、『いいものを作るのは当たり前』というのが、佐伯の気質です。でも作るばかりで情報発信を苦手としてきたのです。そこで私たちは、ふるさと納税に参加したり、“さいき殿々”というブランド認証制度を作りました。自信をもって、自分たちの作るものが全国に通じるものだと広めていきたい。城下町として栄えてきた佐伯藩の誇りを大切にしていこうと」

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こう語るのが、田中利明市長だ。古くは「佐伯の殿様、浦でもつ」「浦の恵みは山でもつ」と言われるほど、食の恵みに溢れた地。ブランド名は、そんな背景にあやかった。こうした取り組みやふるさと納税から、事業者や生産者のモチベーションも高まったという。

「ふるさと納税制度が始まった当初から取り組んでいます。数品から始めた返礼品も、現在では400品に増えました。ANAのふるさと納税に参加させていただくことによって全国にこれらの品々をPRし、ひいては佐伯市の名を広めていきたいと思っています」

知られざる食の宝庫は、知られざる観光の宝庫でもある

佐伯市は広い。自治体として九州一の面積を誇り、9つの駅と東九州高速自動車道のインターチェンジを4つ有する。270kmに渡る海岸線沿いには、国定公園と認められた豊かな自然がある。宮崎県との県境に位置する急崚な山々と、その周辺地域は高千穂町や延岡市とともに、今年ユネスコエコパークに認定されたほど、自然に恵まれている。

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「佐伯市には道の駅が3つあり、それぞれ地域ごとに違った特産品があります。それをひとつひとつ集めてグランピングを楽しんだり、豪華なバーベキューができるほどですよ」

豊富な食の観光資源は、地域資源の豊かさと同義。海ではサーフィンやスキューバダイビング、山ではキャンプにトレッキング、キャニオニングも楽しめる。また、街には武家の文化を色濃く残す史跡もある。

東九州自動車道の開通により、九州各県及び大分空港からのアクセスも良くなりました。佐伯の豊かな自然と豊かな食を楽しんでいただきたい。舟盛りや、どーんと大きな皿でたくさんの美味しいものをテーブルいっぱいに並べて出す。これが佐伯のもてなしです。佐伯にいらしていただけたら、心より歓迎しますよ」