北海道 根室市 Nemuro, Hokkaido  ANA FURUSATO  Payment of taxes

北海道根室市の秋。いよいよ旬を迎えたイクラの醤油漬け

“根室産”という言葉を聞いて喉を鳴らしたなら、きっとなかなかの魚好き。今も昔も、北海道根室市は海の幸の宝庫だ。本州より一足先に実りの秋を迎え、産卵のために秋鮭が里帰りを始めている。とびきりの鮭の、とびきりのイクラ作りが、いよいよ始まった。
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藤井水産 児島 啓一さん

イクラの仕込みは鮮度が命。生きた腹子を手早く調理

北海道本島の最東端、納沙布岬を有する根室市は、水産資源が豊富だ。この地で115年、水産加工業を営む藤井水産では、イクラ作りが最盛期を迎えつつある。

「今年は鮭が不漁で、かなり貴重なんです。たぶん過去最高値だと思いますよ。漁獲量には波があって、今年は谷間だと言われていますから」

こう語るのは、買い付けと企画、営業、販売を行う児島啓一さんだ。とはいえさすが産地。丸々と太った獲れたての鮭がドッサリとある。そしてこの日は初日。神棚にその日一番の鮭を供え、柏手を打ってから作業に取りかかる。

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「自分たちで納得のいく原料を仕入れて、自分たちで作って、お渡しするまでが私たちの役目です。お客様の評価を直接受けるので、手を抜くわけにはいきません」

手早く出刃包丁を使って捌き、中の腹子を取り出す。鮭の身は下ろしてからたっぷりの粗塩で塩漬けにし、新巻鮭にする。腹子は粒の大きさによって仕分けされ、筋子や醤油漬け、塩漬けのイクラになる。

「水揚げされたその日のうちに作業しないといけません。鮮度が命です。卵は取り出した後もまだ生きているんです。その状態で調理をする。輸入の腹子もありますが、生冷され死んでしまうので、それでは味が落ちますよね」

獲れたてをすぐに調理できる。産地ならではの美味しい理由があるのだ。

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試行錯誤を繰り返し、イクラ本来の風味が生きる減塩仕立てに

醤油漬けの作業を見せてもらった。腹子はたっぷりの塩水で洗う。真水では浸透圧によってうまみが外に逃げてしまうためだ。ゆえにイクラ作りの工程ではすべて塩水を主体に作業する。

最高の鮮度を保ったまま、すぐにほぐしの工程に移る。網に腹子を乗せて、手で押す。薄皮から卵がほどけ、下に置いた容器にポロポロと落ち、うずたかく積もっていく。

「これだけで鮭50尾分です。そう考えると少ないですよね。だからイクラは貴重品なんですよ」

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光に透けて赤く光る様は宝石のようで、いかにも美しい。その後、特製の醤油ベースの調味料に一晩漬け込んでできあがる。

「醤油やみりんや魚介・昆布だしを使っています。試行錯誤の末、うちのは塩分濃度を2%以下と低くしていて、かなりの減塩仕立てになっています。調味料で食べてもらうより、イクラ自体の味を楽しんでもらいたいんです」

プチプチとした小気味いい食感に、柔らかい塩気が身上だ。「温かいご飯に載せて、イクラ丼で食べてください」と児島さん。きっと箸が止まらない。ふるさと納税の返礼品としても人気の品だ。

「根室市が力を入れていると聞きまして、私たちも何かお手伝いしたいと思い、参加を決めました。おかげさまでイクラを中心に、たくさんのご注文をいただいております。『美味しかったからまた注文したい』というお声をいただくのがうれしいですね」

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根室市総合政策部 塩原 康之さん

オホーツクの恵み。美味しさと自然の、根室の魅力

「地図を見てもらうとわかるように、三方が海に囲まれた場所です。オホーツク海の豊富なプランクトンのおかげで、魚が大きく育つんです。今の時期はサンマも獲れますが、脂を蓄えて本当に美味しいですよ」

こう教えてくれたのは、根室市総合政策部の塩原康之さん。実際、根室で獲れた魚介はお世辞抜きにおいしい。サンマのほかにホタテにウニなど、ここで獲れたことが価値に繋がるのも頷ける。

「それを誇りに、責任を持ってやっている事業者さんが多いですね。食、そして自然は、根室市の大きな強みだと考えています。それらを生かして、今後10年の都市計画として、海と大地の生産交流都市という街づくりを目指しています」

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そんな取り組みを全国に示すために、ふるさと納税を活用していきたいと考えているそう。根室市は食のみならず、自然も豊かだ。

「日本では600種以上の野鳥がいますが、その半分以上を根室で見ることができるほど、ここは野鳥の宝庫です。バードウォッチングの本場として知られるイギリスからも、わざわざ訪ねてくるほどですよ」

ふるさと納税の寄附金の使い道は寄附者が選べる方式だが、野鳥の保護に活用される項目もある。

「寄附者の皆さんと顔の見える関係を築いて、根室市に来てくださるファンを作りたいですね」