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江戸末期から今に続く、「ほかとは少し違う」八丈島の焼酎

八丈島は、東京から飛行機に乗って約55分で行ける南国だ。夏にはその魅力を増し、多くの観光客で賑わう。秋からは、島で採れた芋と国産の麦で、焼酎造りが盛んになる。どうやら本場九州のそれとは少し違う、八丈島ならではの味なのだとか。
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八丈島酒造 奥山 清満さん

江戸末期に、流人が伝えた焼酎造り

夏の八丈島は、風が気持ちよくて爽やかだ。島のシンボルである八丈富士と三原山の双頭は山頂まではっきりとした稜線を描き、草の緑と青空とのコントラストがいかにも美しい。麓には、4つもの焼酎造りの酒蔵があるという。これだけ多いのは、伊豆諸島では八丈島だけ。そのルーツは、江戸末期に遡るという。

「薩摩藩の流人である丹宗庄衛門が、八丈島に焼酎造りを伝えたんです。その前は、ずっとどぶろくを造っていたと聞いています」

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こう教えてくれたのは、八丈島酒造の奥山清満さん。島でもっとも古い酒蔵の3代目で、100年の歴史があるという。

「八丈島の焼酎の特徴は、なんといっても麦の麹を使うこと。九州の本場じゃ米麹を使うでしょ?このあたりは飢饉のときに幕府から米での酒造りを禁止されたため、米麹を使わないんですよ。酒の原料となるのは、麦か芋。昔は芋焼酎が多かったんだけど、芋を作る農家も減ってきて、最近は麦が多いですね」

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麦麹が香る焼酎は、大量生産できない島の味

八丈島酒造のこだわりは、島で採れた芋だけを使うこと。10月から翌年の6月までが仕込みの時期だ。麦を蒸して麹菌をまぶして発酵させ、酵母と混ぜて酒母を作る。収穫したサツマイモを蒸して砕いたものを混ぜたら、“二次仕込み”と呼ばれる熟成発酵の工程。それを蒸留して、しばらく寝かせて完成だ。芋焼酎が終われば、麦焼酎に取りかかる。昔ながらの製法にこだわって、島の芋だけを使って島の水で仕込んでいる。

「だからたくさん造れないんですよ。その時期は従業員のほかに、さらにパートも雇わないと大変なんです」

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苦労の結晶をいただいてみた。「八重椿」は、麦焼酎がベースで、芋焼酎を3割ブレンドしたもの。スッキリとした飲み口だが、重厚感も備える。麹の風味も強く感じる、とてもワイルドな味わいだ。

また「江戸酎」は、芋100%の限定品。3年ほど寝かせただけのことはあって、角が取れたまろやかな味わいだ。フワッと芋の香りが広がり、かなりフルーティー。だが、八丈島の焼酎らしく、麦麹の風味もときおり顔を出す。

「4年くらい前に作った一番新しい銘柄が『江戸酎』。芋だけで造ってみたくて、添加物は含んでいません。島の人に多く飲まれているけど、ふるさと納税を通して、全国のいろんな人に知ってほしいですね」

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八丈町総務課 大川 和彦さん

東京からもっとも近い南国の島には、多彩な魅力が溢れている

「焼酎がおいしいのは、水のよさも理由ですね。でもほかにも島にはいろんな名物があるんですよ。たとえば春に咲き乱れるフリージア。あとは、くさやも有名です。このあたりの島々では多く作られますが、八丈島のくさやは、きれいな水で丁寧に洗うから、匂いがきつくないんです」

八丈町総務課の大川和彦さんの談だ。これらの産品はふるさと納税の返礼品にもなっている。

「もともとふるさと納税ではなく、八丈町の“応援団”のような制度を作ったんです。寄附をいただいた方に、焼酎やフリージアをお礼状と一緒に贈っていて。でも時代のニーズもあって、八丈島空港に定期便が就航しているANAと一緒にふるさと納税をやってみようと思ったのが、去年のことです」

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ふるさと納税を通して、島の魅力を全国に訴えたいのだという。

「一年を通じて気候は温暖です。行政区分では東京都ですが、夏場でも都心のように猛烈に気温は上がりません。海も山もあって、アクティビティも豊富です。登山道が整備されていて、海抜ゼロメートル、つまり標高ゼロから登ることができるんです。海水の透明度はピカイチですし、シュノーケリングも楽しいですよ」

それは、訪れないとわからない島の魅力。その点では、八丈島でいただく食事も外せない。たとえば天ぷらやおひたしにした明日葉、さらに白身魚を醤油ダレに漬けたネタを、和辛子が載った甘めのシャリで握る島寿司。いずれもよく知られている。