

明治維新以降、日本は西洋諸国の文化を取り入れてきたことはよく知られていますが、
実はスイーツの歴史でも同じことがいえます。和菓子や地元の食文化との融合を果たし、
いまや日本独自の進化を遂げたものも少なくありません。国内外のお菓子の優れた点を上手に取り入れ、
洋菓子文化は大きな発展を続けています。フランス菓子の分類では、元々は生地を使った菓子を意味し、
クッキーやケーキなどに代表される「パティスリー」、砂糖菓子を指す「コンフィズリー」、氷菓子の「グラス」に大別されますが、
それらの文脈で全国の洋菓子をご覧いただくと、日本の洋菓子文化の豊かなバリエーションに驚かされます。
さあ、甘くて色鮮やかな洋菓子の世界へ。スイーツジャーナリストの平岩理緒さんがご案内します。

スイーツジャーナリスト
平岩 理緒さん
マーケターとして食品メーカーなどのプロモーション、リサーチを担当し、商品開発・販売促進に関わった経験を生かし、独立。菓子の基礎知識を製菓学校で学ぶ。1か月に200種類以上のスイーツを食べ歩き、雑誌やWEB、ラジオ、TV等で、スイーツを中心とする「食」の情報を発信する「スイーツジャーナリスト®」として活動。情報サイト「幸せのケーキ共和国」主催。執筆の他、セミナー講師、イベント司会、企業の商品開発コンサルティングまで幅広くこなす。
洋菓子の進化と、
ご当地スイーツの楽しみ方
日本の洋菓子のレベルは非常に高く、日本人が「お菓子の本場」と称するフランスも含め、ヨーロッパ、アメリカ、アジアなど世界各地から、大いに注目されています。ここ10年ほどを振り返っても、パティシエやショコラティエの世界コンクールで優勝した日本人は少なくありません。明治期以降、海外で学び、その技術や文化を持ち帰って国内の発展に尽くした人物が数多く存在しました。日本人は、異なる文化を学んで取り入れ、自分達の文化と融合させて新たなものを生み出すのが得意であるように思います。
近年、ヨーロッパ流の菓子の技術をベースとしつつ、地元産の素材を採り入れるなどして、これまでにない洋菓子作りに挑戦する例が増えています。他との差別化のみならず、根底には地元への誇りや愛情、生産者への敬意や感謝があると感じます。地域の農産物や特産物を使ったもの、歴史を盛り込んだ物語性のあるもの、地元に伝わる和菓子にヒントを得たものも面白いですね。これら「ご当地スイーツ」で大切なのは、地元以外の方にもわかりやすく伝わることです。多くの方が食べやすく、美しい、楽しい、面白いといった普遍的な“品(ひん)”を備えたものは、長く愛される「ご当地スイーツ」になるでしょう。
ANAのふるさと納税の返礼品のなかにも豊富にありますが、迷われたら、予算を決めて候補を絞るのもいい方法です。私は今回、トライしやすいものを探したいと、洋菓子カテゴリーの中で寄附額2万円未満の予算を指定し、地域別に絞り込んで候補を見ていきました。興味を引かれる返礼品に出会ったら、同じ事業者が他にもなにか出していないか、その自治体では他にどんなものが出ているかと、広げて探してみるきっかけになります。逆に、洋菓子のなかでも高額な返礼品はどんなものだろうと調べてみると、年に何回か品物が届く定期便形式のものが見つかることもあります。ANAのふるさと納税を通じて、知らなかった自治体や作り手と出会えるのは、旅行の計画を立てているかのような楽しさがありますね。
スイーツジャーナリスト
オススメ返礼品10選
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北海道//白糠町
ぷりんのこころ珍しい塩漬けチーズを使った贅沢なプリンセット私はチーズ好きで、北海道「白糠酪恵舎」のチーズも食べたことがあります。「リコッタサラータ」はリコッタチーズの水分を抜いて塩漬けし1ヶ月以上熟成させたもので、「ミルキーな塩」ともいわれる珍しいもの。日本ではなかなか出会えないこんなチーズを使っていることに興味を引かれます。さらに、赤しそを使ったプリンも珍しく、あの有名なしそ焼酎「鍛高譚」のしその産地だからというのも、白糠町ならではだなとワクワクさせられます。一方、製造元の「ホテルまつや」は、コロナ禍の影響を受ける宿泊施設。そういった事業者の応援ができるということも、ふるさと納税制度の利点のひとつですね。 さて箱を開くと、まずは赤しそゼリーの美しいピンク色に魅せられます。瓶の蓋を開けると、しそ漬けの梅を思い出させる懐かしい香り。甘酸っぱいゼリーと、とろっとやわらかでやさしい甘さのプリンの相性が抜群です。「リコッタサラータ」は削って上にふんわりのせることで、プリンの味わいとの対比が際立ち、より濃厚な印象に。ほのかな甘じょっぱさが、くせになります。添加物不使用の誠実な素材選びで、作り立てが冷蔵で届くため、日持ちが短めなのも納得です。贅沢なデザートやおやつとして、白糠町に思いを馳せながらゆったり味わいたいものです。
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福島県//福島市
Love FUKUSHIMA携わる人々の思いとともに、フルーツもたっぷり詰まった極上ケーキこの返礼品は、東日本大震災後の福島を応援するため、料理人やパティシエが様々な交流支援をしてきた「料理ボランティアの会」の協力を受け、約3か月の月日をかけて完成させたものです。私もこの会に参加しているのですが、ふるさと納税は、そういった善意の活動を知るきっかけにもなる制度ですね。 福島県産の桃、りんご、苺、ぶどう、キウイなどを贅沢に焼き込んだフルーツケーキです。一般的なフルーツケーキは、洋酒に漬け込んだ数種のドライフルーツ類を生地に混ぜて焼きますが、こちらは「帝国ホテル」の銘品として知られるフルーツケーキの製法を踏襲。果実ごとに相性のいいお酒に漬けて風味を凝縮させるという、手間暇をかけて作られたものです。開封すると、ドライフルーツの豊かな香りがふわっと広がります。生地の上には大きなカットで、そして生地の中にも様々なドライフルーツの味や食感がふんだんに散りばめられています。とくにキウイは珍しく、つぶつぶの食感を楽しめます。夏はアイスティーや白ワイン、スパークリングワインと、冬場は温かいお茶やコーヒーとご一緒に。上品なリボンがけの箱入りで高級感があり、手土産にもぴったりです。
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山梨県//甲斐市
有機アイスと有機バウムのオーガニックギフトセットオーガニックにとことんこだわったバラエティ豊かなスイーツセットバウムクーヘンの製造元である「黒富士農場」は、自社生産の有機卵をはじめ、全ての素材をオーガニックにこだわっています。甘さは控えめなので、好みで別添の有機アガペシロップをかけてください。またアイスクリームは、山梨県内で有機ジャージー牛乳を生産する「清泉寮牧場」や有機認証工場との協業で誕生したストーリーも魅力です。どちらもしっかりとコクを感じる味わいながら、後残りの重たさがなく、体にすっとなじむような食後感。アイスは4個入り、バウムクーヘンは切り分けていただけるので、ご家族でも召し上がりやすいですね。バウムクーヘンにバニラアイスと好きなフルーツを添えて、デザートプレートのように盛り付けて楽しんでも素敵です。 アイスクリームもバウムクーヘンも、オーガニックにこだわっているところが魅力で、食の安全・安心がさらに求められるようになっている今の時代のニーズにもマッチしていると思います。自家用としていただくのはもちろん、子育て中のお母様など、食にこだわっている方に差し上げても喜ばれそうです。
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富山県//舟橋村
かぼちゃジェラート4個&トマトソルベ2個 計6個セット北陸三県にある“唯一の村”が誇る特産。冬に届く、野菜のアイススイーツ野菜だけのジェラート&ソルベという特徴的なセット。その年に収穫したかぼちゃやトマトを使って製造する冬季限定の返礼品で、大地の恵みをいただけるのがありがたいと感じました。富山駅から立山・黒部ダムに向かう立山線沿線にある舟橋村は、富山を含む北陸三県にある唯一の村だそうです。立山方面に行く際には、きっとこのジェラート&ソルベの味を思い出すに違いありません。 味わいと色は、野菜そのもののナチュラルな魅力が詰まっていて、好ましく感じられます。まろやかなジェラートは、特産品である「九重栗(くじゅうくり)かぼちゃ」のこっくりした上品な甘さ。冬に届くならば、冬至に食べるのもお洒落ですね。少しシャリシャリした食感のソルベには、ミディトマト「華小町」の爽やかな甘さがあります。また散りばめられたトマトの果肉の凝縮された味もアクセントに。販売元は、「立山舟橋商工会女性部舟橋支部」。きっと、村の農家や商店の方々が力を合わせて完成させた味わいだとお見受けし、ほのぼのとした気持ちになりました。
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滋賀県//高島市
五蔵の酒粕れーずんさんど&酒ケーキセット歴史ある5つの酒蔵の味を洋菓子に。酒どころならではの“飲み比べ”感覚で高島市内にある5つの酒蔵の酒粕と日本酒を使い分けている、面白い趣向のセットです。サクサク食感の厚めクッキーで酒粕クリームを挟んだレーズンサンドは、冷蔵庫から出して少し置くと、酒粕の風味や香りがわかりやすくなります。米麹の粒の残り具合や、華やかさ、スパイシーさなどの違いが面白い! 酒ケーキも、お酒の風味をほんのり感じ、ふんわりとした食感で食べやすく、冷やして口当たりよく楽しめます。 またそれぞれのお酒の特徴を書いた説明書もぜひご覧ください。「淡海堂(おうみどう)」は江戸時代より地元酒蔵の原料にしてきた醸造所「淡海酢(たんかいす)」のお菓子ブランド。高島市を酒瓶の形に見立てた地図にもユーモアがあり、琵琶湖の西側に酒蔵が並ぶ様子とともに、地元への愛情と誇りが伝わります。お酒に強い方ではないので、日本酒そのものを5種飲み比べするというのはなかなかハードルが高いのですが、お菓子としてならば気軽に体験できます。実はこれまで、滋賀県を日本酒どころとしてあまり意識していなかったのですが、これを機に勉強することができそうです。 ※車の運転やお子様への提供は控えていただくようお願いいたします。
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鳥取県//琴浦町
バターケーキギフト・ティータイムギフト日本トップクラスの乳質の牛乳を100%使用。恵み豊かな山麓から届く、ケーキの競演返礼品選びは“そこにゆかりがある”という視点で選ぶのもいいものです。その点、私の祖父は琴浦町生まれ。数年前に親類を訪ね、大山乳業のアンテナショップも案内してもらいました。豊かな自然と水源に恵まれた大山の麓で育まれる日本トップクラスの牛乳の乳質は、地元の誇り。とくに全国でも数少ないチャーン式の伝統製法で作られるバターはファンが多く、そのバターを100%使ったバターケーキは見逃せません。ロールケーキ、チーズケーキもあって、大満足の内容です。 バターケーキは常温で届くので、1.5-2cmほどの厚さでそのまま一切れ。まさにシンプルイズベスト! バターの滋味がじんわり広がります。夏はアイスティー、冬は温かい紅茶といただきたい。電子レンジで10秒ほど温めるとバターの香りがより芳醇に、オーブントースターで軽く焼くと表面がサクッと香ばしく味わえます。冷凍で届くロールケーキとスフレ状のチーズケーキは、食べる前に解凍して、好きな時にいただくことができて重宝。ご家族のティータイムはもちろん、それぞれ別々の箱入りなので、ちょっとした手土産にもおすすめです。
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香川県//小豆島町
塩サブレサンド詰合せオリーブのおいしさを存分に。旅先の魅力が詰まったジェラートサンドオリーブジェラートは、オリーブオイル入りの淡いグリーンのジェラートに、細かく刻んだ塩漬けオリーブも混ぜ込まれ、青々しく爽やかな香りです。口のなかに広がるサブレの塩味と、ジェラートの上品な甘さが絶妙なバランス。アーモンドクランチは、サイドにザクザクとしたナッツがたっぷり入ります。ジェラートはチョコチップ入りで、香ばしさと食感が楽しめました。最後は「酒かすあんこ」。酒粕の風味豊かなミルクジェラートに黒糖風味の粒餡を合わせた “和”の味わいで、イタリア発祥の食文化が日本の素材と融合した面白さを感じました。 地産地消にこだわったジェラートショップの返礼品は、とても魅力的! 届いたサンドは直径7cm、高さも2.5cm以上と、想像よりもサイズが大きく、食べ応え充分でした。実は小豆島は、いつか行きたいと思っている場所のひとつでした。そんな場所に思いを馳せながら味わい、ワクワクするのも返礼品選びの楽しみです。
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佐賀県//佐賀市
佐賀まるぼうろ食べ比べセット
食べ比べをお手軽に。迫力と個性あふれる定番銘菓の面白さ旅行に行った際に、土地の銘菓を異なるメーカーで購入して、食べ比べをするのが好きです。地元の伝統菓子を、複数メーカーの品で食べ比べできるこのようなセットは、とても興味深いものです。まるぼうろ自体も魅力的なお菓子で、以前に佐賀を訪ねた際に、まるぼうろストラップを購入した思い出もあります。素朴な焼き菓子だからこそ、お店ごとの特徴を発見する楽しさがあります。5,000円と手ごろな寄附額も魅力ですね。 箱を空けると、10種のまるぼうろが1個ずつ入っていて、これだけ揃えて食べ比べられるなんて……と感動します。パッケージや原材料表示を見たり、綺麗に封を開けたり、写真を撮ったりしているだけで、テンションが上がりました。大きさや高さ、焼き色はもちろん、ごま油の香りの強いもの、副素材を混ぜているものなど個性派も。割り心地も違っていて、サクッと硬めのもの、しっとりしているものなど、本当に面白い。お気に入りを見つけるのもいいいですし、それぞれのお店のWEBサイトや場所なども調べながらだと、佐賀を旅しているような楽しい気持ちになれるはずです。
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鹿児島県//徳之島町
~島の恵みいっぱい~徳之島プレミアムジェラート&ソルべ南国の果実をよりどりみどり島の魅力を切り取ったようなアイスの数々鹿児島には多くの離島があり、徳之島もぜひ行ってみたい場所の一つ。稀少な島のフルーツやハーブを使ったジェラートは、私も食べたことのない珍しいものがあり、ぜひ食べてみたい!8種×2個ずつとバリエーションも豊富で個数も多く、冷凍で保存がきくので長く楽しめるのがいいですね。 ずらっと並べて蓋を開けたところ、ナチュラルな素材使いで南国らしいカラフルな色彩にワクワクしました。マンゴーやパッションフルーツ&ドラゴンフルーツは南国の魅力たっぷり。タンカンは甘みがありつつ、和の柑橘らしく後味すっきり。ショウガはミルクアイスにピリッと爽やかな辛味を感じます。スーパーフードといわれるアザミの一種「向春草」は、濃厚な緑色ながら癖もなくコクのある味。またシークワ―サーの原種と言われる柑橘シークニンはほんのりスパイシーな酸味です。徳之島産ラム酒を使ったラムレーズンなど、珍しい素材のジェラートたちに心躍ります。普段、あまり甘い物を召し上がらない方も試す価値ありの大人向けの味。ご家族やパートナーと分け合ってお召し上がりください。
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沖縄県//南城市
ちんすこう詰め合わせセット違いを味わい、長く楽しめる心ゆくまで堪能できる沖縄の定番沖縄の「ちんすこう」は有名な銘菓ですが、食べ比べできるセットというのが楽しそう。私自身も、実際に沖縄を訪れた際に、数種類をお土産にして食べ比べをしたことがあります。現地でも本当に種類が豊富で、まだ食べたことのない品は少なくありません。こちらは異なるメーカーのものが合計9つの味の詰め合わせとなっており、多種類のちんすこうを食べ比べることができます。同じメーカーの品でも、形が違うと食感が変わることなども発見できて、とても面白い。「小亀6色詰め合わせ」は、ごま塩、紅芋、黒糖など、多彩なバリエーションで飽きさせません。「35CHINSUKO」は香り豊かな珈琲味で、モダンなクッキー感覚。「優菓堂」のバナナ味も人工的なフレーバーではなく、バナナパウダー入りのナチュラルな味なのが嬉しい。どれも個包装で沢山入っているので、知り合いにも配りやすく重宝します。お茶菓子にぴったりで、コーヒーにもよく合います。常温保存で日持ちも長いので、毎日のティータイムに2〜3個ずつ、長く楽しめそうです。